ZENRA

人生はじめてっぽい

勝ってたな。

 

SuiseiNoboAzをはじめてみて。それまで音楽は聞いていて1年前から行こう行こうと思ってたのに行ってなかった。

金曜日。馴染みのある京都の少し街をはずれたところにあってそれがすごくいいライブハウス。

いろんなことに絶望してたから。音楽も読書も映画も、それらが分かってくれさえいればいいとか思いながらいままでやってきたし、これからも素敵な作品に出会える楽しみな気持ちでいれたのに、だからその先になにがあるんだろう?些細なことだな。と思い始めて、元気なかった。そういうことへの期待がなくなると、自分の中になにもなくて、お金を稼ぐにもなんのため?って思ったりして、軸がなくなってしまったとか大それた感じの感覚だった。もう絶望。たとえば急に大金を工面しなければいけなくなったとかの、パニックとかでなく、芯がぽっかりあくのは自分でも非現実的だったし、悲しい。いままでがそうでなかったから余計にかな。

落ち込んでいたけどSuiseiNoboAzが石原正晴がヒーローすぎてこれが好きなんだって気持ち戻ってきちゃったねー。勝ちに来たって言っていた。対バンのみんなと、客、ここのみんなで勝つって言ってた。負けたと思った。その時のその瞬間まで、こんな楽しいことを忘れてしまってた自分とか?わからないけど、きっと自分から手放しかけていたんだろうと思ったら、負けたと思った。

ずっとあの瞬間に留まっていたかった。ロングセットで、時間の流れを感じなくて、あれ、このまま永遠に続いちゃう?とか思った。

ミッドナイト・イン・パリで名誉の死を説くヘミングウェイに、死が最も怖い、というようなことを主人公が言った。ヘミングウェイは、最高の女を抱くとき、真実の愛は、真の情熱は死を一瞬遠ざける、情熱で死に立ち向かい、恐怖の想念がまた蘇ると、また情熱的に女を抱く  のだと〜。なんか見直したら思ってたのと少しズレてたな。まあいいや、なんだか、まあ、少し、そういう情熱を感じた。次の日は一日、とても好きな人と1日を過ごした次の日みたいな、ヘンなアドレナリンがずっと残っていた。

色んなヘンなことがあるのに、みんな分かりやすい音楽に逃げる(そんなの私が決めることではないけど)のに、変わらず最高で、良い雰囲気と、機嫌の良さ(ヘンな意味じゃない、)、ファンとかも全部、完全に好きだった。全て。

辞めるよりも、負けてるのを見る方がつらい。強い憧れ、というより強い好意が、その負けをずっと見せつけてくる。ずっと勝っていてほしい。いや、違う、話が逸れた。だから、わたしも勝とうと思った。それだけ。また情熱的に抱くんだって、ヘミングウェイは。

ずっと負けていないつもりだし、それは1人で続けられると思ったけど、そんなことないね。でも一瞬、落ち込んでいた矢先、落ち込んでから一瞬のこのタイミングで救ってくれた気がする。

過剰に印象付けるのは好きじゃない。盲目に崇拝するような、押し付けはよくない。けど、このライブ、多分ずっと忘れないだろうな。めちゃめちゃ自分が気持ち悪いし、にわか並みの急な肩の入れ方でほんとクソっぽいけど仕方ないね。過不足なくかいたつもりだし。

音楽が好きな気持ちを思い出したっていうか、多分、またこれまでの好きとは違う感じで、また音楽を好きになったんだと思う。とりあえずつぎはライブDVD買う。